人間は誰しも病にかかるものです。なかには治療が不可能な病気と常に戦っている人達も存在しています。病気によっては治療方法が確立されていない病が存在しているだけでなく、発見が遅れたために治療が間に合わない病もあります。もはや完治が不可能と分かっている病気にかかった場合、患者は終末医療を選択する事が出来ます。終末医療とは病気の完治を目的にせず患者の心身の痛みを緩和するために施す医療であり、それにより余生をできるだけ満足いくかたちで過ごすことが可能になります。抗がん剤の中には種類によって癌を治療する代わりに重篤な副作用を発症してしまうものも存在しており、そこから死に至る患者さんも少なくありません。一方終末医療を選択すれば抗がん剤の変わりに痛みを緩和する治療を施してもらえるため、患者は心身ともにクリアーな状態を維持しながら暮らせるようになります。それにより残された家族に感謝を伝えたり、やり残した仕事を完成させる事も可能になります。死を見据えた医療を選択する場合、人間は皆死する存在であると言う意識を獲得する事が欠かせません。もしも生き続けたいと言う意志がある場合、身体的な苦痛が伴ったとしても患者は治療を選び取るでしょう。痛みの緩和を目的にした医療が一般化するには「死」に対する哲学を築く必要があります。またこうした医療は患者だけでなく患者の家族から理解を得なければなりません。医師の判断だけでは治療を中止する事はできないのです。